WBA世界フライ級タイトルマッチ
王者・井岡一翔vs挑戦者・ロベルト・ドミンゴ・ソーサ
2015年9月27日・エディオンアリーナ大阪
井岡が圧勝した。
試合前から、この結果はわかっていた。
挑戦者・ソーサはランキング10位。
井岡からすれば格下の相手となる。
1998年、ボクシング界のカリスマ・辰吉丈一郎が持つ(当時)WBC世界バンタム級王座の初防衛戦の相手としてリングに上がったホセ・ラファエル・ソーサ。
このソーサの弟が、今回のロベルト・ドミンゴ・ソーサであるとわかった時は驚いた。
私は大の辰吉ファンだ。
辰吉の試合はすべて記憶にある。
さて、今回の試合について考察していきたい。
序盤、気になったのはソーサのパンチ。
例えばパンチの強さが、強・中・弱の3段階あるとしよう。
もちろん相手を倒しにいく時は強を打って構わない。
しかし、パンチの種類によってはあえて弱を打つこともある。
リードパンチから繰り出していくジャブには、それこそ何十種類ものバリエーションがある。
相手との距離を測るためのジャブ、
自分の中でリズムをとっていくためのジャブ、
右を当てるために、その前に布石として繰り出していくためのジャブ、
相手のガードを動かす(ボディへ強いパンチを打ちこみたい場合、まずジャブを顔面に打ち相手のガードを上に上げさせておいて、ガラ空きになったボディへパンチを打つ)ためのジャブ、
ガードをしている腕にダメージを与える(腕にダメージがを与えることができれば相手は強いパンチを打ってこれなくなる)ためのジャブ、
などなど、ジャブというものは様々な用途によって使い分けていくことになる。
それと共に、強・中・弱といったパンチの強さも考えていかなくてはならない。
人間にはスタミナというものがある。
常に強を打ち続けたのではガス欠をしてしまう。
だからスタミナを温存するためにも、強を打つ必要のない時には強では打たないということが大事になる。
ソーサは序盤から思いっきり強を打ち続ける。
すべてのパンチが強。
空振りを何度もしている。
基本的にパンチの空振りが多くなればスタミナがどんどんと切れていく。
拳に込めたエネルギーが相手に当たれば楽なのだが、これが空振りになってしまうと拳に込めたエネルギーを自らの力で回収しなければならなくなる。
腕も疲れる。
ソーサは気持ちが強い。
井岡に対して果敢に前に出ていく。
対する井岡は冷静だ。
無駄に打たない。
何よりもディフェンスが素晴らしい。
井岡のディフェンス能力の高さがハッキリとわかる。
ソーサのパンチがよく見えている。
ガードが高い。
自分のパンチが当たる距離にいながらアウトボクシングをしているかのような…。
つまりソーサのパンチはもらわずに自分のパンチだけをしっかりと当てている。
ソーサの打ち終わりに的確にパンチを叩きこんでいく。
ショートレンジのフック、アッパー、細かく小さなパンチを素早く打ち込む。
素晴らしい。
どう見ても井岡のラウンド。
序盤からずっと井岡のペースが続いていく。
7ラウンド。
井岡の左ボディがクリーンヒット。
これによりソーサの動きがガクンと落ちた。
まず高く構えていた左のガードが下がる。
ボディへのパンチが嫌で、懸命にボディを守りたかったのだろう。
足が止まってくる。
序盤から強を繰り返してきたツケがやってきた。
パンチの手数がグッと減ることになる。
スタミナが切れてきた証拠。
いよいよ井岡の独壇場になってきた。
井岡のパンチがガードが薄くなった顔面を捉え始める。
顔面を当てておいて、そこからボディ打ちへとシフトしていく。
上下への打ち分けがうまい。
ソーサは相変わらずボディを嫌がっている。
後半、ポイントでは勝てないと確信していたソーサが一か八かの勝負に出た。
思いっきりパンチを振り回し始める。
しかし井岡は冷静だ。
これに付き合わない。
多少パンチをもらうことはあったが致命傷になるような場面はなかった。
何が何でも倒したい井岡。
これには理由がある。
日本人で3階級制覇を成し遂げたのは亀田興毅と井岡一翔の2人のみ。
そして3階級すべての世界戦においてKOで勝ったことがある日本人はまだいない。
井岡はミニマム級、ライトフライ級の2階級でKO勝利を収めている。
今日のフライ級でKOすれば日本人初3階級でのKO勝利という記録を作ることができる。
しかし、ソーサのガッツはすごかった。
ボディは効いている。
効いているはずなのに一切それを表には出さない。
疲れてきても、相変わらず強いパンチを振り回す。
井岡はリスクを追えば倒しにいけたのかもしれない。
でも、敢えてここでリスクを負う必要はないだろう。
井岡は賢かった。
まだまだボクサー人生は長い。
しかもベルトを防衛していかなくてはならない。
もしここで次の試合にまで影響の出るようなダメージを負ってしまったら…、
リスクを覚悟で前に出るなら、こういった事態を招いてしまう可能性が生まれることになる。
12ラウンド。
井岡のボディでソーサが初めて効いたというアクションを見せた。
ラッシュをかける井岡。
あと、ここから2~3ラウンドあれば倒せたかもしれない。
でも、これが最終ラウンド。
ソーサは頑張った。
凄かったと思う。
試合終了。
判定の結果を待つ必要もなく井岡の勝利がわかる。
ソーサは紳士だった。
負けたにも関わらず、きちんと井岡に挨拶し勝利を讃えていた。
そう、あの辰吉丈一郎のように。
素晴らしい光景を見せてもらった。
井岡は今後、とりあえずスーパーフライ級に上げての4階級制覇に向かうつもりはないのだという。
まずはこのフライ級で最強を証明したい。
WBC,IBF,WBO,他団体の王者と王座統一戦を狙っていく。
他団体の王者は強者ぞろい。
軽量級において激戦区となるフライ級。
井岡がどこまでやれるのか。
年内にもう1試合。
前王者レベコとの再戦を含めた防衛戦が濃厚だ。
レベコとのリターンマッチ。
すごい試合になると思う。
楽しみで仕方がない。
これからの井岡一翔に期待している。
王者・井岡一翔vs挑戦者・ロベルト・ドミンゴ・ソーサ
2015年9月27日・エディオンアリーナ大阪
井岡が圧勝した。
試合前から、この結果はわかっていた。
挑戦者・ソーサはランキング10位。
井岡からすれば格下の相手となる。
1998年、ボクシング界のカリスマ・辰吉丈一郎が持つ(当時)WBC世界バンタム級王座の初防衛戦の相手としてリングに上がったホセ・ラファエル・ソーサ。
このソーサの弟が、今回のロベルト・ドミンゴ・ソーサであるとわかった時は驚いた。
私は大の辰吉ファンだ。
辰吉の試合はすべて記憶にある。
さて、今回の試合について考察していきたい。
序盤、気になったのはソーサのパンチ。
例えばパンチの強さが、強・中・弱の3段階あるとしよう。
もちろん相手を倒しにいく時は強を打って構わない。
しかし、パンチの種類によってはあえて弱を打つこともある。
リードパンチから繰り出していくジャブには、それこそ何十種類ものバリエーションがある。
相手との距離を測るためのジャブ、
自分の中でリズムをとっていくためのジャブ、
右を当てるために、その前に布石として繰り出していくためのジャブ、
相手のガードを動かす(ボディへ強いパンチを打ちこみたい場合、まずジャブを顔面に打ち相手のガードを上に上げさせておいて、ガラ空きになったボディへパンチを打つ)ためのジャブ、
ガードをしている腕にダメージを与える(腕にダメージがを与えることができれば相手は強いパンチを打ってこれなくなる)ためのジャブ、
などなど、ジャブというものは様々な用途によって使い分けていくことになる。
それと共に、強・中・弱といったパンチの強さも考えていかなくてはならない。
人間にはスタミナというものがある。
常に強を打ち続けたのではガス欠をしてしまう。
だからスタミナを温存するためにも、強を打つ必要のない時には強では打たないということが大事になる。
ソーサは序盤から思いっきり強を打ち続ける。
すべてのパンチが強。
空振りを何度もしている。
基本的にパンチの空振りが多くなればスタミナがどんどんと切れていく。
拳に込めたエネルギーが相手に当たれば楽なのだが、これが空振りになってしまうと拳に込めたエネルギーを自らの力で回収しなければならなくなる。
腕も疲れる。
ソーサは気持ちが強い。
井岡に対して果敢に前に出ていく。
対する井岡は冷静だ。
無駄に打たない。
何よりもディフェンスが素晴らしい。
井岡のディフェンス能力の高さがハッキリとわかる。
ソーサのパンチがよく見えている。
ガードが高い。
自分のパンチが当たる距離にいながらアウトボクシングをしているかのような…。
つまりソーサのパンチはもらわずに自分のパンチだけをしっかりと当てている。
ソーサの打ち終わりに的確にパンチを叩きこんでいく。
ショートレンジのフック、アッパー、細かく小さなパンチを素早く打ち込む。
素晴らしい。
どう見ても井岡のラウンド。
序盤からずっと井岡のペースが続いていく。
7ラウンド。
井岡の左ボディがクリーンヒット。
これによりソーサの動きがガクンと落ちた。
まず高く構えていた左のガードが下がる。
ボディへのパンチが嫌で、懸命にボディを守りたかったのだろう。
足が止まってくる。
序盤から強を繰り返してきたツケがやってきた。
パンチの手数がグッと減ることになる。
スタミナが切れてきた証拠。
いよいよ井岡の独壇場になってきた。
井岡のパンチがガードが薄くなった顔面を捉え始める。
顔面を当てておいて、そこからボディ打ちへとシフトしていく。
上下への打ち分けがうまい。
ソーサは相変わらずボディを嫌がっている。
後半、ポイントでは勝てないと確信していたソーサが一か八かの勝負に出た。
思いっきりパンチを振り回し始める。
しかし井岡は冷静だ。
これに付き合わない。
多少パンチをもらうことはあったが致命傷になるような場面はなかった。
何が何でも倒したい井岡。
これには理由がある。
日本人で3階級制覇を成し遂げたのは亀田興毅と井岡一翔の2人のみ。
そして3階級すべての世界戦においてKOで勝ったことがある日本人はまだいない。
井岡はミニマム級、ライトフライ級の2階級でKO勝利を収めている。
今日のフライ級でKOすれば日本人初3階級でのKO勝利という記録を作ることができる。
しかし、ソーサのガッツはすごかった。
ボディは効いている。
効いているはずなのに一切それを表には出さない。
疲れてきても、相変わらず強いパンチを振り回す。
井岡はリスクを追えば倒しにいけたのかもしれない。
でも、敢えてここでリスクを負う必要はないだろう。
井岡は賢かった。
まだまだボクサー人生は長い。
しかもベルトを防衛していかなくてはならない。
もしここで次の試合にまで影響の出るようなダメージを負ってしまったら…、
リスクを覚悟で前に出るなら、こういった事態を招いてしまう可能性が生まれることになる。
12ラウンド。
井岡のボディでソーサが初めて効いたというアクションを見せた。
ラッシュをかける井岡。
あと、ここから2~3ラウンドあれば倒せたかもしれない。
でも、これが最終ラウンド。
ソーサは頑張った。
凄かったと思う。
試合終了。
判定の結果を待つ必要もなく井岡の勝利がわかる。
ソーサは紳士だった。
負けたにも関わらず、きちんと井岡に挨拶し勝利を讃えていた。
そう、あの辰吉丈一郎のように。
素晴らしい光景を見せてもらった。
井岡は今後、とりあえずスーパーフライ級に上げての4階級制覇に向かうつもりはないのだという。
まずはこのフライ級で最強を証明したい。
WBC,IBF,WBO,他団体の王者と王座統一戦を狙っていく。
他団体の王者は強者ぞろい。
軽量級において激戦区となるフライ級。
井岡がどこまでやれるのか。
年内にもう1試合。
前王者レベコとの再戦を含めた防衛戦が濃厚だ。
レベコとのリターンマッチ。
すごい試合になると思う。
楽しみで仕方がない。
これからの井岡一翔に期待している。
Copyright© 2024 整体師・齊藤仁重オフィシャルサイト All rights reserved.