WBC世界バンタム級タイトルマッチ
王者・山中慎介vs挑戦者・アンセルモ・モレノ
2015・9月22日、東京・大田区総合体育館
山中慎介は強い相手に飢えていた。
元2階級制覇王者・ビッグ・ダルチニアンとの防衛戦以降、世界に名を轟かせているような強敵との試合から遠ざかっている。
世界に進出したい。
そのためにはビッグネームとの試合をし、そこで実績を作る必要がある。
今回で9回目の防衛戦。
防衛を重ねていく度に山中の強さが認められていくことになった。
それと同時に、世界の強豪たちが山中との試合を避けていくという事態を招いてしまうことになる。
ビッグ・ダルチニアン。
IBF世界フライ級王座を獲得。
その後、1階級上げてのスーパーフライ級において、IBF、WBA、WBCの3団体を統一していた。
世界的なビッグネーム。
ダルチニアンを撃破した山中は本場でも実力が認められていく。
今年5月、信じられないニュースが飛び込んできた。
パウンドフォーパウンド。
もし、すべてのボクサーが同じ体重だったら…、全階級を取っ払い、同じ身長同じ体重、同じ条件であるならば誰が最強なのか?
これを決めるのがパウンドフォーパウンド。
この10位に、何と山中慎介が選出されたのだ。
もちろん日本人初。
他のメンバーは言うまでもなく世界の超ビッグネームばかり。
山中のように海外で防衛戦をしたことのない日本人ボクサーが、これに選出されるなどということは奇跡に近いことである。
それだけ山中の名は世界に広がっているということなのだろう。
だからこそ、本当に強い相手と戦う必要がある。
今回の相手がモレノと決まった時、山中は心底喜んだ。
やっと世界的にも知名度のある選手と闘える。
アンセルモ・モレノ。
元WBA世界バンタム級スーパー王者。
同級王座を2008年から6年以上に渡り12度防衛した強豪。
卓越したディフェンス技術から、幽霊という異名を持つ。
試合が始まる。
この試合、結論から言ってしまうが公開採点というシステムが結果に大きな影響を与えることになった。
序盤、山中はいつもの戦法に出る。
神の左。
強烈な左ストレートを叩きこむという意識が強い。
それゆえに攻撃の軸が左ストレートを出しやすい構え、そしてそこから右ジャブを突いていく。
モレノ陣営はもちろんこの研究はしている。
モレノは頭部を上下左右に揺さぶり、柔らかな動きで的を絞らせない。
山中のパンチが当たらない。
左ストレートを当てるためには、その前段階として右のジャブを当てる必要がある。
その右が当たってくれない。
ペースがつかめない。
その間にモレノは細かいパンチを山中に当てていく。
モレノのパンチは倒れるような威力はない。
派手さもない。
しかし、着実に山中の頭部を捉えていく。
解説席の元世界王者たちは、「モレノにポイントをつけた」と言っていた。
私も同感だ。
序盤はモレノのものだと思った。
山中とモレノはボクサーとしての資質がかみ合わない。
長谷川穂積だったら、もっとモレノにパンチを当てられるのにな…、そんなことを思っていた。
山中は1撃バズーカー砲。
反対に長谷川はマシンガン。
細かいパンチ、しかもストレート、アッパー、フック、これを上下に散らせるのがうまい。
モレノのように状態を揺らして的を絞らせない相手には、細かくて多彩なコンビネーションが必要になる。
山中はあくまでも自身のスタイルを貫こうとしている。
1発が当たれば倒せる。
1度もKO負けのないモレノを倒そうとしていく。
それはいい。
いいのだが、勝負は後半、モレノのスタミナを奪ってからでもいいのではないか。
前半は1発狙いはやめて、細かく当てていくという戦法をとるべきではないのか。
山中のパンチは空をきり、反対にモレノのパンチは当たっているのだから。
4ラウンド終了時、途中経過が公開される。
意外な点数が聞こえてきた。
3人のジャッジのうち、2人が39対37で山中を支持、残り1人が38対38ドロー。
なぜ山中が勝っているのだ?
ここは日本。
確かに山中のパンチが当たれば場内からは歓声が上がる。
しかし、それほどの的確なパンチは当たっていない。
日本開催の有利さが採点に影響しているのか…。
5ラウンド、試合に動きが出る。
山中に余裕が出始める。
「勝っている」
そのことが山中にリラックスをするということを思い出させいく。
序盤は動きが固かった。
モレノは超がつくほどのディフェンスのスペシャリスト。
パンチを当てることに集中しすぎて、山中本来の柔らな動きが失われていた。
動きが良くなっていく。
ストレートが伸びる。
右のジャブが当たっていく。
一気に山中のペースになるのか。
そう期待していたが、モレノはやはりすごかった。
モレノからすれば点数が負けている。
この展開を続けていては勝てない。
防御一辺倒の動きから、徐々に攻撃に重心を移していくことになる。
モレノは変則的な動きで山中を翻弄し、強いパンチを当てていく。
相変わらずディフェンスがうまい。
「勝っている」という山中の自信が返って裏目に出てしまう。
伸び伸びと踏み込んでパンチを打つ、それと同時にパンチを交わされモレノのカウンターをもらう。
有効打の数はモレノ。
あきらかにモレノの方が印象が有利になっていく。
8ラウンド終了時の採点。
2人が76対76のドロー、1人が77対75でモレノを支持。
形成は逆転している。
これまでの8度の防衛戦のうち、山中がこうした形で後れをとる展開があっただろうか。
山中は焦った。
これではダメだ。
9ラウンド。
勝負に出る。
それまでは警戒していたがリスクを負う覚悟で前に出る。
攻撃重視のスタイルへと変更。
そこに対して冷静なモレノのパンチがヒットしてしまう。
強烈なカウンターが山中の顎を捉えた。
山中はグラつく。
危ない場面だった。
何とか持ちこたえ、9ラウンドを終了。
もし、モレノに強烈な連打があったらどうなっていたか…。
9ラウンド、これは誰が見てもモレノのラウンドとなった。
山中には後がない。
10、11、12ラウンド、この3つをすべてとる覚悟でいかなければ勝てない。
10ラウンド。
山中は賭けに出る。
捨て身でモレノに襲い掛かっていく。
パンチをぶっ放していく。
強引すぎる攻めが功を奏し、やっと左をクリーンヒットさせることに成功する。
モレノの腰が落ちる。
ここで、勝負が大きく分かれていくことになる。
モレノは確かに効いていたのだろう。
しかしだ、モレノはなぜクリンチで逃げ続けるという作戦に出てしまったのだろうか。
前半から中盤、大きな点差が開いているのであればこれでもいい。
老獪なボクサーは序盤で点数を稼ぎ、後半はクリンチなどで逃げ切るという戦法をとることがある。
モレノよ、よく考えろ。
ここまで点数はほとんど差がない。
まだ10ラウンド、こういう戦い方をすれば採点の印象が悪くなってしまうではないか。
しかもここは敵地日本。
危ない状態だとしても、これまでの戦い方を貫いていくべきではないのか。
モレノは、もう終わってしまったのか。
何かあれば山中に抱き着き、クリンチを繰り返していく。
山中はパンチを振り回す。
採点では完全に山中のものになる。
11ラウンド、12ラウンド、ともにモレノは失速したまま。
山中は気持ちで前に出る。
モレノは売りであるディフェンスを忘れてしまったかのように、まともに山中と打ち合っていく。
こうなれば山中の主戦場。
山中が押していく。
実力が近いボクサー同士の試合は、見ていて退屈する場合がある。
メイウェザーvsパッキャオのように、きっちり白黒つけるということが難しくなるのは当然のこと。
終盤、これは見ごたえのある展開となった。
序盤はモレノの土俵で山中が戦わされていた。
しかし卓越したディフェンス能力を放棄し、がむしゃらに振り回すことで勝とうとするモレノが山中の土俵に乗り込んでいく。
派手な戦い方。
ファンからすれば、序盤からこういったスリリングな展開が見たかったのではないか。
見ていて興奮した。
試合が終わる。
10ラウンドの途中までなら、完全にモレノのものであるという印象だった。
しかし残りの3ラウンドで印象が変わってしまう。
山中が最後、猛ラッシュを仕掛けた。
それに対してモレノがクリンチで逃げ続けた。
山中が勝ってもおかしくないのでは…と。
採点が発表された。
2者が115対113で山中慎介を支持、残りの1人が115対113でモレノ。
2対1、山中慎介が防衛に成功した。
ここは日本、もし海外での試合だったら結果はどうなっていただろう。
モレノは母国パナマの英雄である。
パナマでの開催だったら。
中立国として、アメリカでの開催だったら。
この内容であれば結果は違っていたかもしれない。
モレノは紳士であった。
この結果に不満は漏らさない。
敵地である以上、明らかな点差をつけなくてはならなかったと。
この通りである。
日本人ボクサーは恵まれている。
大体が母国である日本で世界タイトルマッチを開催できる。
当然、採点の面でも有利になることは否めない。
山中は強かった。
でも、モレノだって強かった。
この試合、ドローでもよかったのではないだろうか。
モレノが残したコメント。
「山中にも明確に勝ったという意識はないだろうし、私にも明確に負けたという意識はない。非常に均衡していた試合でドローに近かったと思う」
この通りだ。
均衡した試合であったが勝ったのは山中だ。
これは紛れもない事実。
そして勝てば次がある。
この試合により世界のマーケットの中での山中の評価はまたグンと上がることになるだろう。
念願である本場ラスベガスでの試合は実現するのだろうか。
山中は、もうすぐ33歳になる。
あと何年できるだろうか。
残された時間はあとどれくらいなのだろう。
陣営は次の相手としてWBA同級スーパー王者ファンカルロス・パヤノとの統一戦を目指して交渉を進めていく。
できればこの試合を海外で開催したい。
世界の壁を改めて知った。
僅差での判定、納得のいく内容ではなかったがツキが山中にはあったということだ。
この経験を経て、山中はまた1つ階段を上がることができるのだろうか。
次が楽しみだ。
ぜひアメリカでの試合を実現させてほしい。
世界の山中になってほしいのだ。
応援したいと思っている。
王者・山中慎介vs挑戦者・アンセルモ・モレノ
2015・9月22日、東京・大田区総合体育館
山中慎介は強い相手に飢えていた。
元2階級制覇王者・ビッグ・ダルチニアンとの防衛戦以降、世界に名を轟かせているような強敵との試合から遠ざかっている。
世界に進出したい。
そのためにはビッグネームとの試合をし、そこで実績を作る必要がある。
今回で9回目の防衛戦。
防衛を重ねていく度に山中の強さが認められていくことになった。
それと同時に、世界の強豪たちが山中との試合を避けていくという事態を招いてしまうことになる。
ビッグ・ダルチニアン。
IBF世界フライ級王座を獲得。
その後、1階級上げてのスーパーフライ級において、IBF、WBA、WBCの3団体を統一していた。
世界的なビッグネーム。
ダルチニアンを撃破した山中は本場でも実力が認められていく。
今年5月、信じられないニュースが飛び込んできた。
パウンドフォーパウンド。
もし、すべてのボクサーが同じ体重だったら…、全階級を取っ払い、同じ身長同じ体重、同じ条件であるならば誰が最強なのか?
これを決めるのがパウンドフォーパウンド。
この10位に、何と山中慎介が選出されたのだ。
もちろん日本人初。
他のメンバーは言うまでもなく世界の超ビッグネームばかり。
山中のように海外で防衛戦をしたことのない日本人ボクサーが、これに選出されるなどということは奇跡に近いことである。
それだけ山中の名は世界に広がっているということなのだろう。
だからこそ、本当に強い相手と戦う必要がある。
今回の相手がモレノと決まった時、山中は心底喜んだ。
やっと世界的にも知名度のある選手と闘える。
アンセルモ・モレノ。
元WBA世界バンタム級スーパー王者。
同級王座を2008年から6年以上に渡り12度防衛した強豪。
卓越したディフェンス技術から、幽霊という異名を持つ。
試合が始まる。
この試合、結論から言ってしまうが公開採点というシステムが結果に大きな影響を与えることになった。
序盤、山中はいつもの戦法に出る。
神の左。
強烈な左ストレートを叩きこむという意識が強い。
それゆえに攻撃の軸が左ストレートを出しやすい構え、そしてそこから右ジャブを突いていく。
モレノ陣営はもちろんこの研究はしている。
モレノは頭部を上下左右に揺さぶり、柔らかな動きで的を絞らせない。
山中のパンチが当たらない。
左ストレートを当てるためには、その前段階として右のジャブを当てる必要がある。
その右が当たってくれない。
ペースがつかめない。
その間にモレノは細かいパンチを山中に当てていく。
モレノのパンチは倒れるような威力はない。
派手さもない。
しかし、着実に山中の頭部を捉えていく。
解説席の元世界王者たちは、「モレノにポイントをつけた」と言っていた。
私も同感だ。
序盤はモレノのものだと思った。
山中とモレノはボクサーとしての資質がかみ合わない。
長谷川穂積だったら、もっとモレノにパンチを当てられるのにな…、そんなことを思っていた。
山中は1撃バズーカー砲。
反対に長谷川はマシンガン。
細かいパンチ、しかもストレート、アッパー、フック、これを上下に散らせるのがうまい。
モレノのように状態を揺らして的を絞らせない相手には、細かくて多彩なコンビネーションが必要になる。
山中はあくまでも自身のスタイルを貫こうとしている。
1発が当たれば倒せる。
1度もKO負けのないモレノを倒そうとしていく。
それはいい。
いいのだが、勝負は後半、モレノのスタミナを奪ってからでもいいのではないか。
前半は1発狙いはやめて、細かく当てていくという戦法をとるべきではないのか。
山中のパンチは空をきり、反対にモレノのパンチは当たっているのだから。
4ラウンド終了時、途中経過が公開される。
意外な点数が聞こえてきた。
3人のジャッジのうち、2人が39対37で山中を支持、残り1人が38対38ドロー。
なぜ山中が勝っているのだ?
ここは日本。
確かに山中のパンチが当たれば場内からは歓声が上がる。
しかし、それほどの的確なパンチは当たっていない。
日本開催の有利さが採点に影響しているのか…。
5ラウンド、試合に動きが出る。
山中に余裕が出始める。
「勝っている」
そのことが山中にリラックスをするということを思い出させいく。
序盤は動きが固かった。
モレノは超がつくほどのディフェンスのスペシャリスト。
パンチを当てることに集中しすぎて、山中本来の柔らな動きが失われていた。
動きが良くなっていく。
ストレートが伸びる。
右のジャブが当たっていく。
一気に山中のペースになるのか。
そう期待していたが、モレノはやはりすごかった。
モレノからすれば点数が負けている。
この展開を続けていては勝てない。
防御一辺倒の動きから、徐々に攻撃に重心を移していくことになる。
モレノは変則的な動きで山中を翻弄し、強いパンチを当てていく。
相変わらずディフェンスがうまい。
「勝っている」という山中の自信が返って裏目に出てしまう。
伸び伸びと踏み込んでパンチを打つ、それと同時にパンチを交わされモレノのカウンターをもらう。
有効打の数はモレノ。
あきらかにモレノの方が印象が有利になっていく。
8ラウンド終了時の採点。
2人が76対76のドロー、1人が77対75でモレノを支持。
形成は逆転している。
これまでの8度の防衛戦のうち、山中がこうした形で後れをとる展開があっただろうか。
山中は焦った。
これではダメだ。
9ラウンド。
勝負に出る。
それまでは警戒していたがリスクを負う覚悟で前に出る。
攻撃重視のスタイルへと変更。
そこに対して冷静なモレノのパンチがヒットしてしまう。
強烈なカウンターが山中の顎を捉えた。
山中はグラつく。
危ない場面だった。
何とか持ちこたえ、9ラウンドを終了。
もし、モレノに強烈な連打があったらどうなっていたか…。
9ラウンド、これは誰が見てもモレノのラウンドとなった。
山中には後がない。
10、11、12ラウンド、この3つをすべてとる覚悟でいかなければ勝てない。
10ラウンド。
山中は賭けに出る。
捨て身でモレノに襲い掛かっていく。
パンチをぶっ放していく。
強引すぎる攻めが功を奏し、やっと左をクリーンヒットさせることに成功する。
モレノの腰が落ちる。
ここで、勝負が大きく分かれていくことになる。
モレノは確かに効いていたのだろう。
しかしだ、モレノはなぜクリンチで逃げ続けるという作戦に出てしまったのだろうか。
前半から中盤、大きな点差が開いているのであればこれでもいい。
老獪なボクサーは序盤で点数を稼ぎ、後半はクリンチなどで逃げ切るという戦法をとることがある。
モレノよ、よく考えろ。
ここまで点数はほとんど差がない。
まだ10ラウンド、こういう戦い方をすれば採点の印象が悪くなってしまうではないか。
しかもここは敵地日本。
危ない状態だとしても、これまでの戦い方を貫いていくべきではないのか。
モレノは、もう終わってしまったのか。
何かあれば山中に抱き着き、クリンチを繰り返していく。
山中はパンチを振り回す。
採点では完全に山中のものになる。
11ラウンド、12ラウンド、ともにモレノは失速したまま。
山中は気持ちで前に出る。
モレノは売りであるディフェンスを忘れてしまったかのように、まともに山中と打ち合っていく。
こうなれば山中の主戦場。
山中が押していく。
実力が近いボクサー同士の試合は、見ていて退屈する場合がある。
メイウェザーvsパッキャオのように、きっちり白黒つけるということが難しくなるのは当然のこと。
終盤、これは見ごたえのある展開となった。
序盤はモレノの土俵で山中が戦わされていた。
しかし卓越したディフェンス能力を放棄し、がむしゃらに振り回すことで勝とうとするモレノが山中の土俵に乗り込んでいく。
派手な戦い方。
ファンからすれば、序盤からこういったスリリングな展開が見たかったのではないか。
見ていて興奮した。
試合が終わる。
10ラウンドの途中までなら、完全にモレノのものであるという印象だった。
しかし残りの3ラウンドで印象が変わってしまう。
山中が最後、猛ラッシュを仕掛けた。
それに対してモレノがクリンチで逃げ続けた。
山中が勝ってもおかしくないのでは…と。
採点が発表された。
2者が115対113で山中慎介を支持、残りの1人が115対113でモレノ。
2対1、山中慎介が防衛に成功した。
ここは日本、もし海外での試合だったら結果はどうなっていただろう。
モレノは母国パナマの英雄である。
パナマでの開催だったら。
中立国として、アメリカでの開催だったら。
この内容であれば結果は違っていたかもしれない。
モレノは紳士であった。
この結果に不満は漏らさない。
敵地である以上、明らかな点差をつけなくてはならなかったと。
この通りである。
日本人ボクサーは恵まれている。
大体が母国である日本で世界タイトルマッチを開催できる。
当然、採点の面でも有利になることは否めない。
山中は強かった。
でも、モレノだって強かった。
この試合、ドローでもよかったのではないだろうか。
モレノが残したコメント。
「山中にも明確に勝ったという意識はないだろうし、私にも明確に負けたという意識はない。非常に均衡していた試合でドローに近かったと思う」
この通りだ。
均衡した試合であったが勝ったのは山中だ。
これは紛れもない事実。
そして勝てば次がある。
この試合により世界のマーケットの中での山中の評価はまたグンと上がることになるだろう。
念願である本場ラスベガスでの試合は実現するのだろうか。
山中は、もうすぐ33歳になる。
あと何年できるだろうか。
残された時間はあとどれくらいなのだろう。
陣営は次の相手としてWBA同級スーパー王者ファンカルロス・パヤノとの統一戦を目指して交渉を進めていく。
できればこの試合を海外で開催したい。
世界の壁を改めて知った。
僅差での判定、納得のいく内容ではなかったがツキが山中にはあったということだ。
この経験を経て、山中はまた1つ階段を上がることができるのだろうか。
次が楽しみだ。
ぜひアメリカでの試合を実現させてほしい。
世界の山中になってほしいのだ。
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