伝説のカリスマボクサー、辰吉丈一郎さん。


辰吉さんほど世間から、もう終わった、

もう引退だと言われてきたボクサーはいないでしょう。

そんな世間の声に負けず、何度もカムバックしてきました。

「もう辰吉は終わった、引退したほうがいいという外野の声は耳に届いていたけれど、
自分では限界だなんて思ったことは一度もない。
自分で自分をあきらめた時が本当の終わりで、あきらめなければチャンスは必ずやってくるもんよ」

辰吉さんは、こう話します。


辰吉さんには、奥さんと、子供が２人います。

３０歳を超えて試合にカムバックする時に、家族に話しました。

最悪のことも覚悟してくれと。

つまり、リングで亡くなるかもしれないということを。


ボクシングという競技は、命がけのものになります。

３０歳を超えた肉体で挑めば、本当に死んでしまうかもしれません。

それでも、リングに立ちたいという覚悟で現役を続けているのですね。


世間は、やめろと言います。

もう、チャンピオンになどなれるはずがないと。

しかし、辰吉さんは、そんな声を無視し続けます。

「夢のような話だ、不可能に近い話だという人がいることはわかっているけれど、
それは他人がそう思うだけのこと。ボクは違った尺度や考え方を持っているからね」


最後に、辰吉さんが言っていたことをここに記します。

「人間、オギャーとこの世に生まれたからにはいつかは命が尽きるもの。
なにもしないで生きていつか死ぬのは我慢ならない。
だったら、やっぱり自分のしたいことをして、結果も残したい。
自分の人生を全うしたい。そのためには努力しなければならない。その道が楽であるはずがない」


やりたいこともやらずに、ボケっとして生きていくぐらいなら、

死んでもいいから自分のやりたいことをやって生きていたいのだ。


男の覚悟、そして、その生きざまを貫いていく。

それが、辰吉丈一郎なんですよね。

伝説のボクサー、辰吉丈一郎さん。

「人間は
遅かれ早かれ
死ぬんや

僕は
飯食って
糞して
死を
待つんや
なしに
一生懸命
やりたいことを
やって死にたい」

辰吉さんの言葉です。


辰吉さんは、将来のことについて、こう語っていました。

「無事に死にたい」

無事に死ぬとは、どういうことだろう…？

私は、すぐにイメージできませんでした。

自分で、納得して死ぬ。

一生懸命生きて、やりたいことをやって。

悔いを残さずに死ぬ。

こういうことでしょうか。


私は、まだ、辰吉さんのレベルまで達していません。

しかし、こういう生き方は凄いと思うんですね。


辰吉さん、お父さんから、こう教わりました。

「つらいことが多いとか、苦しいことが多いとか、
そんなのは全部自分のことばっかりや。そこには甘えがある。
そんなことは、二の次三の次や。自分が、こうと決めた道を行くのに、
そこに達するまで、あんなことがあった、こんなことがあった、そんなことを気にする間もない。
ここにいきたいために、なんでそんなことを気にすることがある。
気にしてるから、悩み事が多いとか、悩みがあるとか、そういうことになるんや。」

この生き様を実現することができたら、素晴らしいことだと思います。

まさに、辰吉さんは、それを体現しようとしています。

僕も、そうありたいと思います。

そう、あらねばならないと。

人生は１度きり。

たった１度の人生。

奇跡的にこの世に生をうけて、貴重な人生の時間をいただいたわけです。

こういう生き方ができたら…。

その時こそ、

無事に死ぬことができるのでしょう。

１９９９年に亡くなった、プロレスラー・ジャイアント馬場さん。

２メートル９センチという日本人離れをした体格、

当時の日本プロレス界を代表する存在であった方です。


もう１人、プロレスラー・大仁田厚さん。

大仁田さんはタレントとしても活躍され、

国会議員にもなった経歴をお持ちです。


昔、大仁田さんは、馬場さんの付き人を務めていました。

ある時、大仁田さんが興行に向かう途中、

馬場さんが試合で着用する予定だった赤いパンツを忘れたことがありました。

困った大仁田さんは、同じ会場に赤いパンツを履く身長２メートルの外国人選手がいたため、

この選手の控室に忍び込み、パンツを盗みます。

馬場さんはそのパンツで試合に勝ったものの、何かおかしいと気づき、

「このパンツ俺の？」と大仁田さんに尋ねました。

大仁田さんは「外国人選手から借りてきました」と嘘をつきましたが、

馬場さんはこの嘘を即座に見破り、「馬鹿野郎、貸すわけないだろ！」と怒鳴って、

大仁田さんに張り手を食らわせます。

そして、洗濯して返すようにと命じ、それから３日間まったく口をきかなかったそうなんですね。


大仁田さんは、この一件により、

馬場さんから「嘘をつくな」と強く教わったような気がしたと言います。


その後、別の興行で、

またしても馬場さんのスーツのズボンを忘れるというミスをおかします。

今回こそは、正直に言おう。

馬場さんにこのことを話し、素直に謝りました。

すると馬場さんは、まったく怒らずに、

何も言わず興業中の約１ヶ月間、スーツの上着に赤ジャージのズボン姿で通したそうです。

スーツの上着に赤ジャージのズボンなど、おかしな恰好ですよね。

それでも馬場さんは、正直に謝ってきたことを評価してくださったんです。

このことで大仁田さんは、馬場さんから人間として大切なことを学びました。


正直であること。

誠実であること。

これが大事なんですよね。