私の初の著書「ビジネスマンの人生を激変させるしなやかな心のつくり方~カリスマ整体師が心のストレッチの極意を伝授する」の書籍出版記念特別インタビューをYouTubeにアップしました。

コロナ騒動で心のストレスが問題となっている今だからこそ、お読みいただきたい1冊になっています。

自分でできる心のストレスの解消法。

ストレスを上手に受け流し、しなやかな心をつくる方法が書いてあります。





ぜひ、ご覧ください。


特別インタビュー
2020年3月31日の中日新聞さまに、私の取材記事を掲載していただきました。




現在、発売中の私の著書「ビジネスマンの人生を激変させるしなやかな心のつくり方~カリスマ整体師が心のストレッチの極意を伝授する」は、70の話で構成されています。









その中から、1つをここで公開します。




本物の大人になる

立派な大人との出会い
私の人生の転機となった、ある方との出会いについて書こうと思う。当時、私は30歳だった。
あるスポーツ団体のトップである全日本の社長のお身体を施術することになったのだ。私は、お会いする前から緊張していた。私が好きなスポーツ競技の全日本の社長である。
そして、いざ対面の時。私は唖然とした。私に対して、大きな声で「こんにちは。今日はよろしくお願いします」と挨拶をした後、深々と丁寧なお辞儀をしてくださったのだ。
なぜだ?60歳近くにもなるこんな超大物が、30歳やそこらの私に対して、なぜここまでの礼を尽くしてくださるのか。私は、ただただ恐縮するだけだった。
施術中の会話も、社長はすべて敬語でお話になる。私に対して気を遣ってくださり、施術について何度もお褒めの言葉をくださった。そして、施術が終われば、「いや~、気持よかったですよ。ありがとうございました」と、また深々とお辞儀をしてくだる。
私は背筋がゾクッとした。言葉が出てこない。心の中で「なんて立派な方なのだろうか」とつぶやくので精一杯。終始、圧倒されていた。

一人の大人との出会いが、その後の人生を変えるということ
こういう人物のことを「大人」と言うのだ。若者から、憧れられる人のことを「大人」と言う。
私はそれまで、生意気にしていることがカッコいいことだと思っていた。挨拶や礼儀など、している奴はカッコ悪い。突っ張って、生意気にしているくらいがいいんだって、本気でそう思っていた。しかし、この社長との出会いがあってから、考え方が大きく変わった。生意気にしているよりも、礼儀正しくしていることの方が何百倍もカッコいい。あの時の社長は、そういう意味で最高にカッコよかった。普通、全日本のトップが、私のような小物に対して、ここまでの礼儀を尽くしてくださるだろうか。社長は、ありえないことを、当たり前のようにやっていた。だからこそ、ありえないくらいにカッコよく見えたのだ。
私は、自分がどれほどカッコ悪かったのかを思い知らされた。社長がここまで低姿勢を貫いているのに、なぜ私のような小物が偉そうにできるのかと。
私はこの出会いをキッカケにして、挨拶や礼儀を覚えた。あの時の社長のマネをして、丁寧な挨拶ができるようになった。相手が年下であっても、頭を下げるのが苦ではなくなった。
あの社長のように、深々とお辞儀をすることこそが、最高にカッコいい姿なのだとわかったからだ。一人の立派な大人との出会いが、その後の人生を大きく変えてしまうということがある。あの社長のすべてが、今でも鮮明に、私の記憶に残っている。そして、私もああなりたいと、今でもそう思っているのだ。




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現在、発売中の私の著書「ビジネスマンの人生を激変させるしなやかな心のつくり方~カリスマ整体師が心のストレッチの極意を伝授する」は、70の話で構成されています。
















その中から、1つをここで公開します。




貧乏ゆすりのススメ

ふくらはぎが「第2の心臓」と言われる理由
血液を全身に送り出すのは心臓の役割となる。ただ、心臓は「握りこぶし大」くらいの大きさしかない。心臓が持っているエネルギーというのは、実際にはそこまで大きなものではないのだ。だからこそ、心臓を助ける意味でも、身体を動かしたり、お風呂に入って身体を温めたり、自分でも全身の血流をよくすることを意識しなければならない。
また、心臓は血液を送り出すという機能は持っているが、末梢から心臓へと戻してくるという機能は持ち合わせていない。そこで人間の身体は、歩くことによってふくらはぎの筋肉を収縮させて、そのポンプ作用によって末梢に滞っている血液を心臓に送り返しているのだ。これが、ふくらはぎが「第2の心臓」と言われる理由。
「エコノミー症候群」という名称を聞いたことがある方は多いと思う。飛行機に半日以上座りっぱなしでいると、足の静脈の中の血液がドロドロになって血栓を作って固まってしまう。これが肺に運ばれると肺血栓、脳に飛べば脳梗塞。恐ろしい病なのだ。しかし、これは飛行機だけに限った話ではない。普段、座ってばかりで歩かない方や、運動不足の方にも当てはまる。

忌み嫌われる貧乏ゆすりは健康的な動作だった
貧乏ゆすり。これは、あまり良いイメージを持たれていないと思うが、私はこれをおススメする。もともと、貧乏ゆすりは、身体が欲している動きなのだ。
長時間、集中してデスクワークをしていれば、全身の緊張状態が続いていることになる。その中に、パソコン画面を見続けていることが原因として起こる眼精疲労がある。眼精疲労の影響は、目だけにとどまる話ではない。眼精疲労は目の疲れだが、目がストレスを感じ続けたことで、全身の緊張状態に繋がり交感神経が優位になってしまう。この交感神経優位が、全身の血流障害を引き起こすのだ。眼精疲労の時には、目を休めることに加え、全身の緊張状態を解消する必要がある。
全身の筋肉が緊張状態にある時に、貧乏ゆすり(足を小刻みに動かすこと)は、その解消に有効になる。貧乏ゆすりで、固まった筋肉をほぐしていくことができる。また、足を動かすわけだから、足の血流の悪さの解消にも繋がっていく。忌み嫌われる貧乏ゆすりだが、実は健康的な動作であったと言えるのだ。
「他人の貧乏ゆすりを見るとストレスになる」という方もいるから、周りへの配慮は必要かもしれないが、貧乏ゆすりをしたくなったら、大いにやってもらいたいと思う。また、椅子に座りながらでも、肩をグルグルとまわしてみるとか、背中をよじってみるとか、できる範囲で身体を動かした方がいい。自分の心臓の働きを助けられるのは、自分しかいない。細かくてもいいから、全身の緊張をゆるめ、血流をよくしていく動きをしていきたいものである。



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この度、セルバ出版さんから私の本が出版されることになりました。

















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よろしくお願いいたします。


WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)バンタム級トーナメント開幕戦

WBA世界バンタム級王者・井上尚弥vs元WBAスーパー王者・現WBA同級4位ファンカルロス・パヤノ

横浜アリーナ  2018.10.7



なんだ、これは。

世界のボクシング史において、

ここまでの衝撃的な結末があっただろうか。


ヘビー級のような重量級においては、

ワンパンチで試合が終わるということは珍しくない。

しかし、

ここはリミット53.5キロの世界である。


井上尚弥のパンチの破壊力はケタ違いだ。

まともにヒットせずとも、

かすっただけでもぶっ倒してしまう。


パヤノは十分に作戦を練って井上対策をしてきたはずだ。

あのパンチをもらわないために、

まずは井上のスピードを上回ること、

そして踏み込ませないだけの距離をとること、

ここを意識していたはずなのだ。


緊張感が漂うファーストコンタクト、

互いのリードジャブが交錯する。


前回のマクドネルとは違う雰囲気、

変則的なサウスポーを相手に苦戦するのではないか。


ここから数秒後、

信じられない光景が広がっていく。


井上が左ジャブを突き刺した後、

右ストレートがそことは違う角度で放たれた。

パヤノの顎から上へと、

アッパーの軌道を描いた右ストレートがパヤノの顔面をえぐった。


両足で踏ん張っていたはずのパヤノが、

スローモーションのようにゆっくりと後ろに倒れていく。


なんだ?

なにが起こったんだ?

この事態を理解するまでに数秒の時間を要した。


繰り返すが、

パヤノは両足で踏ん張っていたはずだ。

普通であれば踏ん張りがきいてダウンは免れることができる。

ここで、

なぜ倒れてしまうのだ。


試合の終盤、

スタミナも消耗し、ダメージが蓄積された状態であれば理解できる。

しかし、

これは試合の序盤、

井上のファーストパンチがヒットしたにすぎない。


かつて、

バンタム級には一撃で相手を倒すチャンピオンがいた。

山中慎介。

「神の左」と称された左ストレート。

ただ、

これは大きなモーションから繰り出される渾身の左ストレートである。


これと比べて井上のパンチはどうだ?

前回のマクドネル、今回のパヤノ、

いやスーパーフライ級の頃からそうだった。

小さなモーションから繰り出した軽めのフックでさえ、

当たれば相手は一発でのびてしまう。


井上の拳に触れたらもう終わり。


今までに、

スーパーフライ級~バンタム級で、

こんな拳を持つボクサーがいただろうか。



いや、

これはバンタム級の拳を超越している。

2階級上、

フェザー級の王者とも真っ向から打ち合えるんじゃないか。




全盛期のロマゴンだって、

ここまでのインパクトは残していない。


世界のボクシング界を、

一人の日本人が震撼させている。



これは強すぎる。

WBSSでなければ、

誰だって井上との試合は避けるだろう。


WBSSに出場できた井上には運がある。

これはトーナメントだ。

否応なしに、

他団体の王者と拳を交えることができる。


真の世界最強を求める男にとって、

こんなにありがたい話はない。


準決勝、決勝と、

またあっさりと一撃で仕留めてしまうのではないだろうか。

相手が他団体王者だろうが、

無敗の王者だろうが関係ない。

井上の拳がかすっただけで十分。

そこで試合は終わってしまう。


井上は強すぎる。

凄すぎるよ。


勝手に夢を描いてしまうが、

今回のWBSSバンタム級で優勝したら、

次はスーパーバンタム級に上げてほしい。

そして、

井上が階級を上げた年にWBSSスーパーバンタム級トーナメントが開催される流れになって、

そこでも優勝してもらいたい。


今は世界王者が乱立する時代である。

WBAスーパー王者、正規王者、WBC、IBF、WBO、

場合によっては各団体に暫定王者もいるわけだから、

1つの階級に5本以上のベルトがある計算になる。

そこに加えて王者になれば、

強い相手との対戦を避けることも可能となってしまう。


これでは誰が真の世界最強なのかがわからない。

これはつまらないことだよ。


全階級でWBSSをやればいいのだ。

4団体王者がトーナメントで戦えばいい。

本当に強い男同士で戦って、

真の王者を決めればいい。


今はただ、

井上尚弥が世界中の誰もが認める最強王者になる日を心待ちにしている。



WBC世界バンタム級タイトルマッチ

ルイス・ネリvs山中慎介

2018・3・1



一夜明けてからも、ネリの体重超過の問題が物議を醸している。

前回の試合、ただでさえドーピング疑惑で世間を騒がせていたのだ。

汚名を挽回するためにも、今回の試合に向けてのコンディション調整はいつも以上に慎重に行うべきであったはず。

これはネリだけの問題ではない。

ネリ陣営全体の問題である。


ボクシングはケンカではない。

試合が終われば、互いに笑顔で健闘をたたえ合う。

これこそがボクシングの素晴らしさなのだ。


試合前日に行われた計量の時点において、両者のコンディションには大きな開きがあった。

極限にまで体重を絞ってきた山中と、肉体に余裕を持ったままのネリ。


ボクシングがなぜ階級制をとっているのか。

それは体重差が(1階級の)1.8キロあるだけでもパワーが別次元のものとなるからだ。


計量時、山中とネリの体重差は2キロ以上あった。

また、極限にまで絞った状態から食事をとり試合までに体重を増やしていく選手と、計量時に余裕があってさらに体重を増やしていく選手とではコンディションが大きく変わってくる。


同じバンタム級での試合を行うと契約した選手間で、こういった差が生まれることは許されない。



ネリの体重超過を受けて、山中の口から「ふざけるな」という言葉が飛び出した。

冷静さを保つことなどできるわけがない。

ここで山中の精神の歯車が狂い始める。


試合本番、精神的にキレてしまった山中はネリに対して突っ込んでいく姿勢を見せた。

前回の試合の反省点をいかすのであれば、序盤は距離をとってネリの連打に気をつけるべきではなかったのか。


ネリのパンチは前回よりもパワーがあった。

動きも良い。

体重超過をしたことにより、明らかにコンディションがプラスの方向へと傾いている。


ネリはドーピング、体重超過、2回ともフェアな試合をしようとしなかった。

いくら勝ったとしても評価などないに等しい。


今後ネリ陣営は世界再挑戦の機会を狙うことになるだろうし、ファイトマネーの良い日本で試合をしたいという願望も持っているだろうが、二度と日本のリングにはあげさせないという処罰を下すべきである。


ネリには厳しい処罰を求めたい。


ネリに必要なのは対戦相手へのリスペクトの気持ちだ。

山中慎介に対してリスペクトの気持ちを持っていれば、ドーピングや体重超過などできるわけがない。

山中はパウンド・フォー・パウンドにもランキングされた実績をもつスーパーチャンピオンである。

世界にも名を知られている。

ネリの愚行により山中のキャリアが傷つけられたことは決して許されるものではない。


ボクシング界全体で、この問題についての議論を交わすべきだと思う。

こんなことが許されるのであれば、伝統あるボクシングのリングが何でもありの場になってしまう。


これは大きな問題である。


WBC世界バンタム級タイトルマッチ

前王者・ルイス・ネリvs元王者・山中慎介

東京・両国国技館  2018・3・1



この試合の前日に衝撃が走った。

公式計量の会場で山中の「ふざけるな」という声が響いたからだ。


ネリが体重計に乗った。

その針は1階級上のスーパーバンタム級を超える55.8キロを指していた。

2.3キロオーバーなど異例中の異例である。

2時間後、再び計量を行ったが54.8キロ。

この時点でネリのタイトルは剥奪された。


ここで疑問が残る。

ネリは2時間で1キロを落としてきた。

1度目の軽量の段階でネリの肉体がカラカラのスポンジ状態であったとするならば、2時間での1キロは難しかったのではないか。

ということはネリの肉体は余裕をもっていた?

ネリの体重超過は確信犯であったのか?


前回の試合、ドーピングの検査で陽性が出た。

ドーピングをしていたのか、していなかったのか。

この真相はネリ本人にしかわからない。


ただ今回の体重超過を受けた時に、前回のドーピングは限りなく「クロ」であると疑わざるを得ない。


山中がどれほどの気持ちを作ってこの試合にかけようとしていたのか…、

これを考えると胸が締めつけられる思いがする。


正々堂々としたフェアな試合に挑ませてあげたかった。


「勝っても負けてもこれが最後」

山中はそう思っていただろう。


国内最高記録保持者である具志堅用高に迫る12度の防衛を果たしてきたスーパーチャンピオンの終焉は、こんな試合で良かったのだろうか。

ネリは最後の試合の相手としてふさわしいのだろうか。


今回のような体重超過という問題は以前からある。

体重超過でタイトルを剥奪されたとしても、勝ち続けていればまたチャンスはやってくるだろうという楽観的な風潮が漂ってしまっている。

「キッチリと減量をして負けるくらいなら、体重超過でも勝った方がマシ」

こんなことを思っている選手もいるのではないか。


今後のボクシング界のことを考えるのであれば、こういったことには断固として厳しい処置を行うべきである。

ルールに乗っ取って厳しい減量をクリアしてきた対戦相手に失礼だとは思わないのか。

世界戦ともなればスポンサーがつき、テレビ中継が入り、会場にもたくさんのファンがつめかける。

世界戦のリングに立つ選手には、これにふさわしいだけの自覚と責任が必要とされるはず。

体重超過などという失態を見せることにより、どれだけの人間の心を傷つけ失望させるのか。

体重超過をした選手は永久追放でも構わない。

2度と世界戦のリングに上がるべきではないのだ。



この試合後、ネリは勝利の雄たけびをあげていた。

ネリ陣営が喜びを爆発させる姿を冷めた目で見ていた人は多いはず。

いや、会場にいた全員がネリに対して疑問を感じていたのではないか。


ルール違反をした人間が、なぜここまで喜べるのか。

山中に、帝拳陣営に、そして会場のお客さんに詫びなくてはならないのではないのか。


後味が悪い。


試合内容に触れる。

山中のボクサー人生はモレノとの2戦目で終わっていたのだと思う。

世界戦をこなしていく中で徐々に打たれ弱くなっていった。

ダウン癖がついてしまい、何でもないパンチでもグラついてしまう場面が増えた。


今回の試合は、山中のダウン癖がどこまで修正されているかにかかっていた。

世界戦のリングにおいて、1発ももらわないということは不可能に近い。

山中が優勢に試合を運んでいたとしても、1発でグラついてしまえば形勢は逆転してしまう。


1ラウンド、

ネリのパンチがカウンターで入った瞬間に試合は終わった。

山中のすべてが終わってしまったからだ。


世界戦のリングに上がる選手が、こんなパンチ1発でグラつくなどということはない。

山中は、もう世界戦のリングに上がれる状態ではなかった。

これなら日本チャンピオンクラスの選手と試合をしたってどうなるかわからない。


約20年前の1999年、同じWBCバンタム級のタイトルをかけて行われた試合を思い出していた。

ウィラポンvs辰吉丈一郎。

前年、辰吉は壮絶なるKO負けを喫していた。

すべてをかけて挑んだリマッチ。

辰吉の肉体に蓄積されたダメージが抜けきることはなかった。

人間サンドバックとなった辰吉の姿。


今回の山中が、あの時の辰吉の姿と重なって見えた。

かつてのスーパーチャンピオンの面影はもうない。


山中には「お疲れ様」と言いたい。

山中は日本ボクシング界の歴史に残るスーパーチャンピオンであることに間違いはない。

伝説を作り上げてきた神の左は永遠に語り継がれるであろう。



WBA世界ミドル級タイトルマッチ

正規王者・アッサン・エンダムvs挑戦者・村田諒太

2017.10.22 東京・両国国技館



この試合、リアルタイムで見ていた。

どこか違和感を覚えていた。

エンダムの身体に力が入っていない。


試合後、ある情報が流れた。

「エンダムの体調が最悪であった」

ニュースから転載する。

『9月に左足首を負傷。直後にキャンプのため米マイアミに入ったが、今度は40度近い発熱に苦しみ、おまけに大型ハリケーンの影響でジムも使えなかったという。「キャンセルも考えたが、トリプル世界戦でもあったので」とこぼした。』

世界戦のリングにおいてダウンも喫していない状態での棄権は稀なことである。

『エンダムは8回を前に棄権した。「無駄にパンチを受けない決断をした」。5回あたりから体調に異変を感じた。セコンドに「もらうはずのない左ジャブをもらう。いつもの状態ではない」と棄権を勧められたという。』


序盤からエンダムは村田を過剰に恐れているように見えた。

前回の試合で「村田の右」の威力は身をもって感じている。

ダウンも奪われた。

村田のベストパンチをもらってはいけない。

今回の試合の重要なテーマであったと思う。

村田は中間距離よりも若干遠い位置を得意とする。

村田はこの位置から伸びるように放たれる右ストレートを合わせていく。

エンダムが注意していたのは距離である。

アウトボクシングで距離をとるか、

一気に間合いを縮めて距離を詰めるか。

至近距離ではクリンチを多用した。

なぜ?

疑問を感じる。

村田の強烈なパンチを受けているのであればクリンチをしても構わない。

しかし、まだ村田が手を出す前からクリンチを始めていたのだ。



前回の試合、

村田はエンダムを実像以上の存在として受け止めていた。

「エンダムはダウンを喫しても回復が早い」

村田はこの幻影に怯えていた。

ダウンを奪っても、

勝機があっても、

エンダムに対して踏み込んでいかない。

「エンダムは回復が早い」

目の前にいるエンダムの姿よりも、

事前にリサーチをかけていた情報を重視した。

これにより、

村田は不自然なほどに消極的なボクシングを展開することになる。


今回の試合、

これが逆転していた。

エンダムが村田を実情以上の存在として見ていたのではないか。

村田が何もしていない段階でエンダムは過剰に守りに入っている。

前回のように、

中間距離で手数を出せば良かったのに。



村田はどこか臆病なところがある。

前回の試合、

向かい合ったのは「ミドル級の世界王者」。

いよいよミドル級の世界最高峰の相手と試合をする。

自分が世界最高の男に通用するのか?

自分への疑念。

自信を持って試合に挑むということができない。

ガードをして、

相手の出方を見て、

パンチの軌道を読んで、

試合中でありながらもエンダムをリサーチしている。

これは本番の試合なのだ。

リサーチしている場合ではない。

もっと攻め込め!

村田のボクシングは消極的に映っていた。


微妙な判定。

エンダムに僅差で敗れた。

世間からは「村田が勝っていた」との声が爆発。

WBAでも大問題となり、

異例ともいえるダイレクトリマッチが組まれた。


村田は感じとった。

「自分のボクシングはミドル級の世界最高峰でも通用する」


序盤から村田は自身にGOサインを出していた。

やる時はやる。

ダイレクトでの右を放つ。

1発、2発、倒すという気迫が伝わってくる。


エンダムを気持ちで押している。

村田は試合中にも関わらず笑顔を見せていた。

「村田はこの試合を楽しんでいる」

エンダムからすれば脅威に感じたことだろう。



エンダムが至近距離をとってくることは村田陣営でも予測していた。

今回、練習してきたのは至近距離での攻撃。

ショートでのフック、アッパー、そしてストレート。

村田の狙いが的中。

ショートでのパンチでエンダムを圧倒する。

これに怯んだエンダムはバックステップで距離をとる。


エンダムの戦術がまとまらない。

至近距離での戦いに引きずり込み、

自身のパンチを当ててすぐにクリンチで逃げるのか。

アウトボクシングを展開して、

入っては出て、入っては出てを繰り返すのか。


エンダムの動揺。

途中からエンダムの身体に力が入っていないことが明白になっていく。


エンダムはディフェンス能力の高い選手である。

いくら村田が練習してきたとはいえ、

村田のパンチを被弾する回数が多すぎる。


村田は自信を持っている「右のパンチ」に比べて、

「左のパンチ」が極端に弱い。


通常は左を多用して右を当てていくのだが、

村田は本能でも「左では倒せない」とわかっているのだろう。

ダイレクトでの右というパターンが多い。


エンダムのディフェンス能力があれば、

ダイレクトでの右をここまで被弾するはずがない。



ボクサーからすれば、

ダイレクトでの右を当てさせてもらえるのであればこんなにありがたい話はない。

ただ、思いっきり「ぶん殴ればいい」のだから。

しかし、ボクシングは「パンチングマシーン」をぶん殴るのとは違う。

相手は人間であり、的を絞らせないよう不可測に動いてくる。

だからこそ、まずは左を多用していく必要があるのだ。


村田は「相手を倒す」=「右でぶん殴る」と考えている。

プロ転向後の試合も、

ずっとダイレクトでの右に頼ってきた。

この右が当たらずにやきもきしてきた。

村田が進化するには、

いかに左を有効に使えるかがテーマであったはず。


今回、

エンダムが不調であったがゆえに村田の左が当たっていく。

左ジャブ、

左でのボディ、

左が当たるから自然と次につながる右が出る。

左から右、左左と続けてからの右、

村田のボクシングにスムーズなコンビネーションが生まれ始めていた。



村田のボクシングが進化していく。

アマチュア色の強いボクシングスタイルから、

プロボクシングの世界においての「自分のスタイル」を見出したのか。


前回の試合、

村田は試合をしている「当事者」であったはずなのに、

どこか「傍観者」の位置にいたような気がする。

試合の最後まで傍観者であり続けた。


判定の結果を聞いた時も、

他人事としてその事実を見つめていた印象がある。


今回の試合、

村田は当事者であった。

エンダムを客観的に見るのではなく、

目の前で試合をする対戦相手として見ていた。


TKOでの勝利が決まった時、

村田の顔が一気に崩れた。


前回の試合、

あの判定が発表される場面において、

「勝者・村田諒太」とコールをされてもこんな表情を見せることはなかっただろう。


自分が行う試合を、

傍観者として見ているのか、

当事者として見ているのか。

ここには大きな違いがあって当然である。


今回、

いろんな意味で「熱い」村田を見ることができたような気がする。

気持ちを前面に出して戦ったこと。

必死にパンチを出していったこと。

試合後にはプレッシャーから解放された柔らかい表情を見せたこと。



村田から人間臭さを感じた。

多くの人間が望んでいたことはこれではなかっただろうか。

スポーツの世界でも、

やはり人間は人間が見たいのだ。

血の通った人間が生み出す人間ドラマ。

ここに感動するのだから。


これから、

村田には更なる強敵との戦いが待ち受けている。


期待と不安。

しかし、今は勝利の余韻に浸っていたい。


エンダムの不調も含めて、

この日の夜は村田諒大のためにあったのだ。


勝利の女神は村田に微笑んだ。


2017年9月9日(日本時間10日)、

日本ボクシング界にとっての新しい扉が開いた。


かつて海外での世界タイトルマッチを実現
させ、そこで名を馳せることに成功した日本人ボクサーがいる。

西岡利晃、三浦隆司、亀海喜寛、

彼らは海外での実績を積んだうえでアメリカでの世界タイトルマッチを実現させたのだ。


井上尚弥。

初の海外がいきなりアメリカ。

しかも軽量級最強を決める「スーパーフライ」と銘打たれた大きな興行のセミファイナル。

海外で実績のない日本人ボクサーにアメリカからのオファーが届いたのだ。

ファイトマネーもロマゴンに続く2番目の高額が用意されていた。


破格の待遇。

世界は今、軽量級のスターを必要としている。


防衛戦の相手となったのはニエベス。

井上の相手としては物足りないと言わざるを得ない。

予想通り、試合は一方的なものになった。

井上が圧倒した。

試合後、井上はこうコメントしている。

「試合は相手があってのこと。今日みたいな一方的な、相手の選手に勝つ気がないような試合だと試合自体が枯れちゃうので。白熱した試合がしたいです」

ニエベスにだって勝つ気はあっただろう。

しかし、井上の圧力の前に何もできなかったのだ。

勝つことよりも倒れないことを選んだ。

6回終了時にニエベス陣営が試合を棄権。


井上がイメージしていたダウンを奪っての勝利…とはならなかった。


井上は圧倒的な強さを見せつけることができた。

ここで1つの疑念。

相手がもっと強い人間であればどうなるのか…?


アメリカは井上の次戦として実力のある相手を求めるだろう。

今回のようなただの防衛戦では満足ができない。


この日のメインイベント。

世界のボクシング界の1つの幕が降ろされた。

パウンド・フォー・パウンドにおいて1位に君臨していた男。

軽量級でありながら世界最強であると言わしめていた男が、壮絶なるKO負けを喫したのだ。

同じ相手に2連敗。

前回は微妙な判定であり、「判定がおかしい」という物議を醸す結果となったが今回は言い訳ができない。

最強の男がリング上で大の字になったのだから。


ロマゴンはスーパーフライ級の選手ではない。

フライ級までのロマゴンが、この階級では見せられない。

技術以前の問題で、明らかに身体そのものの力で劣勢に立たされていた。

フライ級の選手がウェイトだけをスーパーフライ級に上げただけ。

そんな印象である。


ロマゴンvs井上尚弥。

世紀の一戦は泡となって消えた。


しかし、見方を変えれば井上にさらなる期待と注目が集まるということだ。

ロマゴンが座っていた座席に、ここから井上が座ることができる。


早くも井上の次戦が騒がれている。


ロマゴンを2度にわたって破ったWBC同級王者・シーサケット・ソールンビサイとの王座統一戦。

これはアメリカでも話題となるだろう。


そして、ここに待ったをかける男が現れた。

IBF同級王者・ジェルウィン・アンカハスである。

「我々はその戦いに準備ができている」


井上は次戦を年末に…というイメージを持っているだろう。

進化している肉体がスーパーフライ級にとどまっていられる時間はもう長くない。

ロマゴン戦がなくなった今、いつまでスーパーフライ級でやるのか。


スーパーフライ級でやり残したこと。

この階級で最強であることの証明。

それには他団体王者との統一戦しかない。


実現をする上で最も近い存在は、やはりIBF王者のアンカハスであろう。


長谷川穂積、内山高志、山中慎介、……、

日本にはありえないほどに強い世界王者がいた。

その階級において世界最強であると思われた男たちには、その全盛期にアメリカのリングでそれを証明してほしかった。


ついに日本人世界王者がアメリカへの扉を開ける。

井上尚弥の今後が楽しみである。


プロフィール
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整体師 齊藤仁重

整体師としての想いや、講演情報、選手との日々の出来事などを
お伝えするブログサイトです。
整体師としての実績、独自のメソッドで
数多くのプロのアスリートのお体を改善してきました。
みなさまのお役にたてるよう、精一杯努力して参ります。
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